Oct 29th, 2014
はじめに
ついにきてしまった。
何がって、一ヶ月休みである。
一ヶ月も仕事を休むなんて、何年ぶりであろうか。
今回、一ヶ月休みの話があったとき、その使い方について大いに悩んだ。
代表の松本とアートディレクターの中村はそれぞれ世界一周だし、ディベロッパーの米田は語学留学である。
あぁ世界一周!
あぁ語学留学!
なんとも絵に描いたような長期休暇プランである。
しかし、これだけ見栄えのするプランのあとで休暇を取る身としては、プレッシャーもなかなかである。
なにしろ復帰後にはブログで内容を発表しなければならない。
生半可な休暇を過ごしては、書くものも書けなくなってしまう。
世界一周は非常に羨ましい。
が、費用的に難しいし、第一子どもは連れていけない。
語学留学も興味はある。
でも何となく二番手はシャクだし、このブログに書くネタ的にもダブってしまう…。
スケールの大きいプランが続いてるので、ここはひとつ「自転車で日本一周を!」とも考えたが、日頃の運動不足が祟って早速静岡あたりで行き倒れそうである。
考えてみれば、世界一周とか語学留学とか日本一周とかいう派手なプランは、自分には似つかわしくない気もしてきた。
どうせなら「ぼくならではのプラン」を立ててみたいものだ。
「非日常」体験への憧れは確かにあるが、そもそも「日常」の中にも片付けきれてないことはたくさんあるのだ。
どうせなら「日常」を徹底的に満喫してやろうではないか。
先の三人が「非日常の一ヶ月」なら、ぼくは「非・非日常の一ヶ月」である。
このところ平日は残業、休日は子どもとの時間と、なかなか自分の時間が作れていなかった。
常日頃、やりたいと思いつつも、ぐだぐたと後回しや先送りにしていたことを一気に片付けよう。
片付けて身軽になった一ヶ月後には、フレッシュな笑顔でまた残業に励もう。
と、まぁこんな感じで夏休み一ヶ月の過ごし方は決まったのだった。
Oct 29th, 2014
手作り石窯で本格PIZZAに挑戦(前編)
ぼくは料理が好きなほうである。
しかし特に料理が上手いとか、こだわりがあるとか云うわけでもない。
店で食事した際などに、「まぁ美味いけど、この値段は~…」「自分でつくれば材料費が~フムフム…」「お!こんなに安くできて、しかもたくさん食べられるぞ!作ろう!」となることが一番多いような気がする。
ただ、ぼくは細かい手順や分量を守るのが苦手である。
焦がさないようにトロ火でじっくり~…というのは大抵待ちきれず、火を強めて焦がしてしまう。
材料の配分にシビアなお菓子作りなどは以ての外で、計量スプーンやハカリをイソイソ持ちだし、「あぁ入れ過ぎちゃった…ちょっと戻して…っと」などと、チマチマ計る作業が耐えられない。
テキトーにザックリとうまいものが作れればそれでいいのである。
そうなると作るものも大抵ザックリしてきて、チャーハン、野菜イタメ、餃子などの焼き炒め系、カレーやミートソース、煮豚といった煮込み系、味付けたまごやいくらといった放置系あたりが主なメニューとなる。
そして、今回挑戦するのはPIZZA(ピッツァ)である。
「ピザじゃなくてピッツァですっ!」という一節が某漫才にあったが、ぼくの中で「ピザ」はアメリカンなパンピザ、「ピッツァ」はナポリピッツァというイメージがある。
その昔、東京は中目黒にあるピッツァの名店SAVOY(現・聖林館)でマルゲリータを食し、あまりの生地の美味しさ、具のシンプルさに感動したぼくは、例によって自分でも作ってみたくなった。
すぐにナポリピッツァのレシピを調べて生地から作ってみたのだが、石窯だけは用意できなかったためガスコンロの魚焼きグリルで代用した。
味は十分に美味しかったが、いかんせん魚焼きグリルサイズでは迫力に欠けるし、石窯の遠赤効果による「外はカリッと、中はモチモチ」にも未練があった。
いつかは石窯を!と、心に決めたものの、そうそう簡単に手に入るものではなく、頭の片隅からも忘れ去られていたある日、レンガを積むだけの簡単な窯で十分おいしいピッツァが焼ける、という話を耳にした。
それまで石窯といえばお店にある大掛かりなものか、家庭用でも背丈ほどの高さのものしか知らなかったが、その窯は大きめの引っ越し用ダンボール程度の大きさらしい。
またレンガは接着しなければバラせるので、据え置き場所すらも要らず収納もコンパクトとのことで、ぼくは早速作ってみることにした。
調べてみたところ、必要な資材は次の8つである。
(1) 耐火レンガ×30個くらい(窯本体)
(2) 大谷石の石版(天板)
(3) コンクリートブロック×6個くらい(土台/ブロック塀に使う普通のもの)
(4) 火バサミ(燃えてる薪を掴む)
(5) 着火剤(点火に必要)
(6) 薪(ナラ、クヌギ等の広葉樹がいいらしい)
(7) ナタ(薪を割る)
(8) ピザピール(窯からピッツァを出し入れするウチワの親玉みたいなもの)
ピザピールは東京の「かっぱ橋道具街」で選び、それ以外はホームセンターで揃えた。
大谷石は栃木県は宇都宮の大谷町で採掘される石で、耐火性や蓄熱性に優れるため石窯にはうってつけらしいが、ホームセンターの人曰く今は採掘がストップしている(理由はしらない)とのことで、4、5店舗を回ってやっと希望サイズのものを手に入れることができた。
「かっぱ橋道具街」は飲食業に特化した問屋街で、ここに行けばどんな飲食店でも開店できるというくらい、なんでもある。
調理器具や食器、食材はもちろん、厨房や什器、看板、店舗設計、食品サンプルまで本当になんでもあり、素人のぼくが興味本位で行っても大変おもしろい。
外国人観光客も多く、食品サンプル屋では歓声を上げながらお土産を選んでいた。
- 後編に続く-
Oct 29th, 2014
手作り石窯で本格PIZZAに挑戦(後編)
さて、道具も揃ったところで、ついに石窯製作である。
まわりに燃えやすいものが無い庭先を設置場所に選んで、まず地面にコンクリートブロックを敷く。
その上に耐熱レンガをコの字型に積んでいき、最後に大谷石の天板を載せるともう石窯の完成である。
モルタルで接着する必要もなく、本当にこれで終わりなのである。
あまりにあっけなく、もうちょっと何かしたいと思ったが、調整するところすら無いくらいシンプルである。
薪をしっかり燃やすためには、初めは太めの割り箸くらいでしっかり火をおこし、その後だんだん太くするため、まずはひたすら細い薪を作らねばならない。
よくテレビなどで見る薪割りは、切り株に丸太を立てて斧を振り下ろしたりするが、今回買ってきたのは既に1/4程に割られているので、その必要は無い。
自分なりにいろいろと調べて、以下のような手順で進めた。
(1) 薪の頭にナタの刃先をあてて、地面に一緒に打ち付けるように何度か上下させる。
(2) だんだん刃が入っていき引っ張っても抜けなくなるので、ナタを両手で持って垂直に地面に叩きつける。
(3) 2を割れるまで繰り返す。
初めての体験というのもあり、ナタが食い込んでいく感覚にしばらくは病みつきになっていたが、炎天下で15分も続けるとさすがに汗だくになった。
ナタを握る手にも力が入らなくなってきたが、まだまだ細い薪は必要と思われたので、さらに10分ほどがんばった。
暑さと疲れで目もかすんできたが、必要と思われる薪が揃ったのでひとまず休憩する。
ダラダラと流れる汗を拭きながら、次にこいつらを目の前で燃やすのかと憂鬱になるが、冷たい麦茶でなんとかやる気を振り絞り、火入れへと進む。
まずは着火剤から細い薪に、そしてだんだんと太めの薪へと燃やしていくのだが、これがなかなか楽しい。
「これはおれが育てた火だ」という気持ちが芽生え、火の勢いが弱まると「そうかお腹がすいたか」と薪をくべ、盛大に燃え出すと「よくぞこんなに元気に育って…」と涙さえ浮かんでくる。
まるで子育てよろしく、この子のためならどんな暑さでも我慢できる!とさえ思う。
一時間ほど燃やし続けると窯の内側のススが無くなってきた。
これが適温の合図らしいので灰を掻き出して真ん中にスペースを作り、ピザピールで生地を投入した。
あっというまに生地が膨れ始め、ものの数分で焼けてしまう。
早速ピザカッターで切って食べてみる。
生地を伸ばしすぎたのか、少しクリスピーっぽくなってしまったが、カリッとモチっとしていて十分に美味しい。
なにより窯から生地、ソースからバジルまで自分で作ったのだから、その分の満足も上乗せで美味しい。
途中からはとなり近所の家庭も集まり、にぎやかな「ピザパー」…もとい「ピッツァパーティー」となった。
ちなみに今回は
・マルゲリータ(モッツァレラチーズ、バジル、トマトソース)
・マリナーラ(にんにく、オレガノ、トマトソース)
・きのこピッツァ(きのこ各種、モッツァレラチーズ、トマトソース)
を作ったが、マルゲリータがシンプルで一番美味しかった。
※ また生地は発酵に一時間程度かかるため、窯作りの前にあらかじめ作っておき、ソースと具も載せてスタンバイしていたのだが、いざピザピールに載せようと思った時には生地がソースの水分でダレて、ベタベタになってしまった。
生地は直前に延ばして、打ち子を振ったピールの上でトッピングをするのが良いようである。
Oct 29th, 2014
薫るアイスコーヒー、淹れました(前編)
ぼくとコーヒーとの付き合いは、さほど深くない。
職場でインスタントやドリップコーヒーを飲むことはあっても、あくまで「そこにあったから飲んでみた」程度のチョイス具合だし、ましてやスタバなどの、いわゆるシアトル系コーヒー店は苦手である。
今でこそ妻と何度か行って慣れてはきたが、初めは一人で行けなかった。
まずサイズ表記がよくわからない。
Sはスモールかと思いきやショートだし、普通のサイズをと思いMを探しても見当たらず、トールという一応中学で習って馴染みはある単語がMに相当するらしいと知る。その上のGrande、Ventiに至っては未知の単語で読み方すらわからない。
目の前の店員さんに聞けばいいと思われるかもしれないが、そこはスマートに済ませたいのがオトコのサガというものである。
やっと注文が終わったと思っても、まだ安心はできない。
「ランプの下でお待ちください」と言われ店員の指す方をみると、果たしてランプがある。
ランプの下!
なんという曖昧な目印であろうか。
仮設店舗や改装中というのならともかく、ちゃんと商品受け取り口と書いておいてくれれば良い話ではないか。
このようにドキドキまごまごしつつ飲むコーヒーの味は美味くない。
かくして、ぼくとコーヒーには徐々に距離ができていった。
しかし今年の夏、その距離が急激に縮まった。
ご存知コンビニコーヒーである。
味も内容も各社さまざまだが、とある、かつての営業時間をそのまま店名にしたコンビニのアイスコーヒーにぼくは心を奪われた。
コーヒーの味は主に酸味と苦味であるが、ぼくは酸味少なめ、苦味多目が好きである。
そのコンビニのコーヒーはまさにぼく好みど真ん中で、これ以上でもこれ以下でもない、絶妙なバランスであった。
あまりの美味しさに連日飲み続けたが、やがて買いに行くのが面倒になってきたぼくは、これは自分で作れば飲み放題じゃないか?と思い始めた。
節約はもちろん、作る楽しみも味わえるし、もっと自分好みの味も追求できるかもしれない。
こうしてぼくは「薫るアイスコーヒー」作りの準備に取り掛かった。
- 後編に続く-
Oct 29th, 2014
薫るアイスコーヒー、淹れました(後編)
早速ネットでコーヒーの淹れ方を調べたところ、おおよそ次のものが必要らしい。
・コーヒーミル(豆を挽くやつ)
・ドリッパー(お湯を注ぐやつ)
・フィルター(挽いた豆を入れるやつ)
早速これらを買い揃え、テーブルに並べ説明書を読み始めた。
なるほど、まずはコーヒーミルで豆を粉状にし、それをドリッパーにセットしたフィルターに入れて、お湯を注げばいいらしい。
案外簡単そうである。
コーヒーミルはダイヤルで豆の細かさが調整できることや、フィルターにお湯を注ぐときは少しのお湯で豆を湿らせ20秒ほど蒸らすことが大事、ということも分かった。
コーヒー豆は「KALDI」で購入。
店内には様々な品種のコーヒー豆が並んでおり、それぞれに豆の特徴を説明した文章と酸味/苦味の目安が書かれている。
コンビニコーヒーの記憶を頼りに酸味少なめ苦味多めのカルディブレンドという豆を購入した。
早速コーヒーミルに豆を投入する。
先述のダイヤルは細かめに設定した。
豆は細かいほうが苦味やコクが出ると聞いたからである。
フタをセットしハンドルを取り付ける。
コーヒーミルには手動と電動があるが、ぼくは迷わず手動を選んだ。
疲れるほど毎日大量に挽くわけでもないし、なにより「挽いてる感」を味わいたかったのである。
ハンドルを回すと、その期待どおり、ガリガリというなんとも言えない振動が手に伝わってきた。
引っかかりすぎず、かといってスムーズすぎない絶妙なガリガリ感で、豆は順調に挽かれていく。
(ちょうどペッパーミルをもう少しだけ振動強めにした感じ)
突如、といった感じで急にハンドルが軽くなり、豆挽きは完了した。
フタを開けると、見事に細かくなっており、売っているコーヒーとなんら遜色ない仕上がりである(あたりまえだ)。
さて、いざアイスコーヒー作りである。
氷で満たしたグラスにドリッパーをセットし、フィルターを取り付け、挽いた豆を投入する。
お湯が沸いたら、「の」の字を書くように豆を湿らせ20秒蒸らす。
これによって「うまみ」と「コク」をしっかり引き出されるとのことなので、丁寧にまんべんなく湿らせた。
この時点でコーヒーの香りが辺り一面に漂い、いやが上にも期待が高まる。
そしてその後数回に分けてお湯を注ぎ、グラスが満たされたところで素早くドリッパーを外した。
抽出の最後の方は雑味があるので、まだ滴るコーヒーに未練は残さないのが肝心らしい。
こうして、豆を挽くところから10分もしないうちに「薫るアイスコーヒー」が完成した。
飲んでみると苦味も酸味も味の濃さもすべて絶妙のバランスで、非常に美味しい。
なんとも見事にコンビニコーヒーが再現できたことに気を良くし、今度はスターバックスのカフェラテも再現しようと思い立った。
〜深みのカフェラテ〜
カフェラテはエスプレッソとミルクで作るとのことで、東急ハンズへ行きエスプレッソメーカー(直火式/ビアレッティ製)を買い求める。
エスプレッソ用により細かく挽いた豆(もうほぼ粉)をエスプレッソメーカーに詰め、お湯を入れて直火にかける。
しばらくすると上のポット部にわらわらと湧き出てくるので、出きったのを見届けて火を止める。
できあがったエスプレッソをグラス1/3程度まで入れミルクを注ぎ完成である。
こちらも大変美味しい。
そのグラデーションも、ミルクの甘味に見え隠れするホロ苦さも、まさに求めていたそれである。
もろもろ道具一式で一万円弱であったが、これらを家で飲めるのであれば十分に安い買い物である。
大成功に気を良くしたぼくは、アイスコーヒーを妻にも飲ませるべく、また豆を挽き、フィルターをセットし、お湯を沸かし、豆を丁寧に蒸らした。
完成までを見守っていた妻が言ったひとこと。
「お店で買ったほうが楽だよね」