より良いデザインをするために。
より充実した人生を送るために。
2012年、ワヴデザインは「働き方すらもデザインしたい」という思いから、11ヶ月働いて1ヶ月休む、という試みを始めました。
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Wab Design INC. / ワヴデザイン
WEBをはじめ、印刷物からモーショングラフィックまで制作を手掛けるインディペンデントなデザインスタジオ。
www.wab.cc

Author

加茂 由香里

Yukari Kamo

デザイナー

2012年Wab Design INC.に入社。ウェブデザイナーとして働きながら、個人では女子クリエイター目線のキュレーターとしても活動中。


Jun 3rd, 2014

「コマンド+Z」のない世界

日頃からウェブをメインにしているワタシは、紙に関して分からないことがたくさんある。紙関係の仕事がくると、「かかか、紙ですか…」とちょっとビビってしまう。

1ヶ月休みが終わった後、少しでもビビらないために、「紙の勉強」と称して、紙の専門商社「竹尾」の「TAKEO PAPER SHOW 2014」に行ってみた。

竹尾ペーパーショウは今年で47回目を迎えるそう。(す、すごい!)今回はキュレーターが原研哉さんで「SUBTLE サトル|かすかな、ほんのわずかの」がテーマ。

グラッフィックデザイナーやアートディレクター、建築家やアニメーション作家まで紙の魅力的な作品に触れることができた!

TAKEO PAPER SHOW 2014

三澤遥さんの作品「紙の花」

色部義昭さんの作品「I HATE U / I LOVE U」

美しい封筒がずらーりと!

また幸運なことに、皆川明さん×色部義昭さん×原研哉さんのトークセッションを聴くことができた。そこでとても印象的だった原さんの言葉がある。

それは「私たちは紙によって躾けられた」という言葉。

具体的に原さんは、こんな風な話をされていた。

「幼いころ、私たちは障子を破ってはいけないと教えられました。障子はとてもデリケートで、すぐに破れてしまうものだから、大切に扱わなければならないと、知らず知らずのうちに紙によって躾けられてきました。また、紙に何かを書いたり、紙を折ったり、紙を破いたり…紙に対して何かをすると、紙はすぐ変化してしまい、もとに戻すことが出来ません。だから、紙と関わることはとても勇気のいる行為なのです。」

パソコンを中心に仕事をしていると、何か間違ったり、やり直したいときはショートカットの「コマンド+Z」で戻ることが出来るのが当たり前。

ウェブサイトだと、スペルミスがあったとしても、修正してすぐアップしてしまえば、何事もなかったかのように出来てしまう。

でも紙はまったく違う。原さんがおっしゃるとおり、紙は変化して元に戻れなくなってしまう。

今回のイベントに参加して「コマンド+Z」のない世界を改めて深く感じた。

「コマンド+Z」は便利でありがたいことだけれど、これからはそれが普通だと思わずに、もっと自分の作業をひとつひとつ丁寧にやっていきたい。


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