Jun 3rd, 2014
「コマンド+Z」のない世界
日頃からウェブをメインにしているワタシは、紙に関して分からないことがたくさんある。紙関係の仕事がくると、「かかか、紙ですか…」とちょっとビビってしまう。
1ヶ月休みが終わった後、少しでもビビらないために、「紙の勉強」と称して、紙の専門商社「竹尾」の「TAKEO PAPER SHOW 2014」に行ってみた。
竹尾ペーパーショウは今年で47回目を迎えるそう。(す、すごい!)今回はキュレーターが原研哉さんで「SUBTLE サトル|かすかな、ほんのわずかの」がテーマ。
グラッフィックデザイナーやアートディレクター、建築家やアニメーション作家まで紙の魅力的な作品に触れることができた!
また幸運なことに、皆川明さん×色部義昭さん×原研哉さんのトークセッションを聴くことができた。そこでとても印象的だった原さんの言葉がある。
それは「私たちは紙によって躾けられた」という言葉。
具体的に原さんは、こんな風な話をされていた。
「幼いころ、私たちは障子を破ってはいけないと教えられました。障子はとてもデリケートで、すぐに破れてしまうものだから、大切に扱わなければならないと、知らず知らずのうちに紙によって躾けられてきました。また、紙に何かを書いたり、紙を折ったり、紙を破いたり…紙に対して何かをすると、紙はすぐ変化してしまい、もとに戻すことが出来ません。だから、紙と関わることはとても勇気のいる行為なのです。」
パソコンを中心に仕事をしていると、何か間違ったり、やり直したいときはショートカットの「コマンド+Z」で戻ることが出来るのが当たり前。
ウェブサイトだと、スペルミスがあったとしても、修正してすぐアップしてしまえば、何事もなかったかのように出来てしまう。
でも紙はまったく違う。原さんがおっしゃるとおり、紙は変化して元に戻れなくなってしまう。
今回のイベントに参加して「コマンド+Z」のない世界を改めて深く感じた。
「コマンド+Z」は便利でありがたいことだけれど、これからはそれが普通だと思わずに、もっと自分の作業をひとつひとつ丁寧にやっていきたい。