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2012年、ワヴデザインは「働き方すらもデザインしたい」という思いから、11ヶ月働いて1ヶ月休む、という試みを始めました。
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Wab Design INC. / ワヴデザイン
WEBをはじめ、印刷物からモーショングラフィックまで制作を手掛けるインディペンデントなデザインスタジオ。
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Author

茶木 太徳

Hironori Chaki

エンジニア

組込系のプログラマーを経験後、スペインバルセロナに留学。帰国後2010年よりWeb制作に従事。2013年Wab Design INC.入社。


Mar 9th, 2017

9.モテるジジイはウインクをする

 

 

22日目。巡礼路では早朝から開いているカフェも多い。
朝6時にあるカフェに立ち寄るとファンキーな店員のお姉さんがマフィンをくれた。

 

 

「お代?いいよいいよ。巡礼者みんなにあげてるんだからさ」

 

 

うわー!そういうRPGみたいの待ってました。
さらに雑談では「日本映画好きよ。ジャッキー・チェンとかね」と。 100点の誤答!

 

 

 

 

朝からファンタジーな出来事にワクワクしながら歩を進める。
昼過ぎには、おばちゃんが庭に落ちてたという洋ナシをくれた。甘くて美味しい。今朝からのファンタジーに輪をかけて、なにか対人運の上昇を感じながら歩いていると、フランスのおじいちゃんと出会う。

 

 

 

年齢は70。目鼻立ちはキリリとしていて(ちょっとジャン・レノ入っていて)若い頃は相当女の子を泣かせていたとみた。

 

 

アルジェリアで生まれ、戦争が始まってフランスに逃げ、イタリアのシシリアに住んでたこともあって、今は義理の姉の孫が日本にいて、いつか日本にも行ってみたいとか。もうそれだけで1冊書けそうな人となり。一緒に歩きながらお互い微妙につたないスペイン語で(彼の母国語はフランス語)話したのは旅や自然や遺跡、食べ物の話題。僕の好きな話題。

 

 

 

そうそう、ひとつ気がついたことがあって、
イケてるおじいちゃんに共通なのは、過去の話をするときには「時代」のことではなく「自分」のことをいう。

 

 

つまり冒頭が
「ワシの若い頃は…」ではなくて「若い頃のワシは…」になる。

 

 

時代というレンジまで離れると見えないものが、ぐっと近づいて個人のエピソードとして語られるとき、その人が歩いた道の起伏となって現れる。そこには成功や失敗、無茶や内省があって、ときにそれは冒険譚となるでしょう。そういう方が話って面白いじゃないですか。

 

 

あとはやっぱり表情。70年人をたらしてきた笑顔とアイコンタクト、ウインクさえ混ぜてくる。女子でなくても参っちまうチャーミングさ。コロコロ変わる表情がシワとして刻まれていくのだろう。僕もバチッとウインクできるジジイを目指すぞ!

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