Mar 3rd, 2017
3.おしかけ親切
3日目。8月の最終日。スペインの夏はもう少し続きそう。
僕はビキニの間を縫ってビーチを歩いていた。
巡礼者には完全に場違いだけど、次の街へは渡し船が必要。そしてこれが巡礼者用の船着き場へ向かうルート。ここも立派な巡礼道。
その次の日の4日目。
靴ずれとビーチの日射のダメージ蓄積が限界を超えた。
特に靴ずれのほうはかなりひどく、到着後のアルベルゲで傷の様子を見ていたら、バルセロナの女の子2人が心配して薬をくれて
「腕も見せて、日焼けも水ぶくれになってるよ」
フランスの元看護婦長のおばちゃん、
それをスペイン語に翻訳してくれるポルトガルのカップル、
巡礼者たちが集まってきて大事になる。心配された途端、未発見の靴ずれや日焼けの水ぶくれがどんどんでてくるこの肉体。心配されたら発症する甘え上手な免疫システム。
マジックポーション(おそらく赤チン)を塗ってもらったり、
靴ずれ用にワセリンもらったり、とにかく積極的に優しい。
「古くは巡礼は命がけだった!明日は歩かず病院に行きなさい!」
締めに全員に念を押される。
みんなグイグイくるんですよ。
「親切にされてイヤな人なんていない」微塵も疑ってなくて、
それで、その夜は寝るときにちょっとうるっと来てしまった。(でも病院には行ってません)