Mar 12th, 2017
12.到達
最終日。目的地のサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂までは24km。
いつものように未明に出発。明るくなった頃、サンティアゴの街を遠くに見る丘に到着。丘には不要になった巡礼の杖がたくさん置き去りにされていた。少し休憩をとり街へ降りていくと今まで幾度となく見てきた「サンティアゴまで」の標識が「サンティアゴへようこそ」に変わって、本当に終わっていくのだなーと。
郊外から1時間ほど歩くと徐々に街の賑わいが増していく。RPG的勇者の到着を待ちわびる村人の村、みたいなのをちょっと想像してた自分に苦笑。
誰も自分に見向きもしないの。毎日数百人の「勇者」が到着するんだからまあそうなんでしょうけど。人混みを抜けると大きな広場。そこには、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂が。
到着した。
あっけなかった。
周りは抱き合って到着を喜ぶ巡礼者、写真を撮る観光客でごった返していた。僕の方は、大聖堂を見上げて拍子抜けしてしまった。
なんてあっけないんだろう。到着のうれしさより終わってしまったという喪失感がすごかった。到着をともに喜ぶ人がいれば違ったのかもしれないが。
到達証明書を受け取りに事務局へ。100組以上が列をなしていた。修道院の中、ろうそくの明かりでラテン名の洗礼名(ないけど)を呼ばれて厳かに羊皮紙に羽ペンで書かれた証明を受け取る自分を想像していたのだけれど、実際は完全に市役所のオーガナイズ。電光掲示板が自分の番号を知らせてTシャツの職員がこちらですとボールペンでシャシャっと書いて渡す。色気がないなー。そういうところだぞ!サンティアゴ!
その日の残りは、到着の余韻に浸る間もなくホテル探しに奔走。山ほどの観光客と到着した巡礼者で宿泊先は全然残ってない。
物語のようなきれいなフィナーレは飾れないのかもしれない。